【インタビュー】十人十色の手しごと職人たちが込める想い

Interview04 先達の技術と伝統を受け継げるように
 試行錯誤しながら美しいガラスをつくっていきたい Interview04 先達の技術と伝統を受け継げるように
 試行錯誤しながら美しいガラスをつくっていきたい

神じん 正人
じん 正人 1991年入社。青森県の伝統工芸士を目指し“宙吹き”の技術を受け継ごうと日々研鑽するかたわら、『津軽びいどろ』の色彩を活かした個人作品の制作にも取り組んでいる。

15歳からガラスの道へと進み、以来ひたむきに技術を磨き続けたじんは『津軽びいどろ』の次代を担う職人です。彼とガラスとの出会いは就職先として紹介された『津軽びいどろ』をつくる北洋硝子からでした。はじめはなんとなく、だった気持ちが一転したのは、大小さまざまな炉が燃える工房に足を踏み入れたとき。それまでは単調な印象だった職人という仕事が「生き生きと楽しそうに感じられた」ことが、ガラスへの探求心に繋がっていったといいます。「ガラスをつくっていていちばん嬉しいのは、器が思い通りにつくれたときかな」。
一点ものの作品とは違い、型を使わない宙吹きでつくり上げる津軽びいどろのガラス制作は、常に厚みや大きさを等しく、そして美しく揃える技術が必要です。そして、商品をただつくり上げることだけではなく、「津軽びいどろ」の魅力である”色の美しさ“や “温かみ”を使い手に伝わる商品に仕上げられる技術は、時間をかけたからといって修得できる訳ではありません。

溶けて流動するガラスを正確に“導く”独自のカンの良さもまた、彼の持ち味である几帳面さが成せる技です。職人として25年以上も重ねてきた日々のなかで、いまの緻密な技術が培われていきました。彼自身は自分の長所を「試行錯誤を楽しめる心」だといいます。「失敗を恐れずに、理想をめざして何度も繰り返す時間を楽しめたからこそ、厳しい職人の世界でも技を磨いていけたんじゃないかな」。
そんなじんがいま取り組んでいるのは、伝統工芸である“宙吹き”の中でも特に大ぶりな商品の制作です。これまでも宙吹きの職人として食器などをつくっていましたが、これからは目標とする伝統工芸士の芳賀や、先達のガラスづくりの全てを受け継いでいく予定です。

ガラスの層を幾重にも重ねた大ぶりな花器や豪華なインテリアなどは、使うガラス量も多くその分重くなりますが、宙吹きの難しさは商品の大きさ・色数の多さでも大きく変わります。
ガラスが重いと、棹の取り回しひとつとっても思うようにいきません。「先達の背中を遠く感じるけれど、それこそ試行錯誤を重ねながら、なんとしてもやらなければ」と技術を伝承する重みを感じながらも、職人人生の目標となっているようです。

もともとは偶然出会った仕事。でもいまは、生涯続けていきたいと思える道。職人になってからふと見返した卒業アルバムには、彼自身すっかり忘れていた将来の夢が書かれていたといいます。
「職人になりたい」
その夢は叶って、これからもずっと続いていきます。

【 技法 宙吹き 】

技法 宙吹き

【 技法 宙吹き 】

紀元前1世紀頃から受け継がれてきた伝統の技法
坩堝の中で溶けた約1200度(成形温度)のガラスを吹き棹の先端に巻取り、 もう一方の端から息(ブロー)を吹き込んで膨らませながら形を整える技法です。 成形炉で再加熱しながら色ガラスや色ガラスのフリットを重ねて仕上げていきます。 自由自在な成形が可能です。

「宙吹き」の技法で
つくられる津軽びいどろ