【インタビュー】十人十色の手しごと職人たちが込める想い
- 横山 俊彦 木工職人の父親に憧れて職人の道へ。北洋硝子の工房と、そこで働く職人たちの姿を見て「こんなに格好いい仕事があるのか」と衝撃を受けて硝子職人となる。『津軽びいどろ』のスピン成形による生産ラインを確立させ、現在では伝統工芸の宙吹き技法を受け継ごうと技を磨いている。
『津軽びいどろ』は型を使わずに器をつくる「宙吹き」からスタートした工房ですが、手仕事の魅力をたくさんの方へ伝えていくために、量産に適した新しい技法の修得にも取り組んできました。その中のひとつが、横山の得意とする「スピン成形」です。金型を回した遠心力でガラスを形づくるスピン成形は、熱したガラスを最適な量・タイミングで金型に落とし込むのも、回すスピードを調整して美しい模様を描き出すのも、すべて一つひとつ職人が行う手仕事です。津軽びいどろはカラー展開が豊富なため、ガラスの色(生地をつくる成分の配合)によって変わる膨張率や硬さにあわせて、どの色であっても“同じサイズ”に揃えていくには、長年の探求と技術の研鑽が必要となります。
「ガラスづくりで面白いのは、同じ商品でも職人によってこだわりが違うところ。たとえば『12色のグラス』のような渦を巻くデザインは、渦のはじまり、渦の太さや長さなど、作り手それぞれに個性があります。その表情と、実際に手に取ったときの質感や手馴染みを確かめながら、自分にぴったりのひとつを探していただけたら嬉しいです」。製品のクオリティについて後輩職人と何時間も語り合うなど、常に理想のガラスを追い続けています。
2020年で、職人歴15年。中堅どころとして活躍する横山は、近頃では宙吹きにも挑戦しています。師となるのは、北洋硝子で宙吹きを担ってきた伝統工芸士の芳賀です。
「ずっと近くで見ていましたけれど、見るのとやるのとでは全然違っていました。型もなく、すべて感覚的な作業なので、規格どおりに揃えることがすごく難しい技法です。ダメなところはすぐにわかってしまうし、ひとつも妥協できるところがありません。技術を受け継ぐ重さとやりがいを感じるところでもあります」。
まずは小さな器づくりから、宙吹きの技術を身につけはじめている横山。宙吹きの皿などを得意とする兄弟子・神からもコツを学びながら、今の技術で提供できる、現代の住まいに合わせたコンパクトな宙吹き製品の開発も進めています。“満足したらそこで終わり”と、先達の背中を追うように毎日練習している姿は、技術を未来へ繋いでいこうとする『津軽びいどろ』にとって、とても頼もしく映ります。
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- Interview 006横山 俊彦
- 新しい技法の確立と、伝統技術「宙吹き」の継承。妥協のない品質と、自分の理想のカタチを追求します
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- Interview 005福士 祐介
- 「手仕事のゆらぎ」を言い訳にはしない美しく、色彩豊かで、規格の整った品質にこだわりたい
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- Interview 004神 正人
- 先達の技術と伝統を受け継げるように試行錯誤しながら美しいガラスをつくっていきたい
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- Interview 003館山美沙×牧野清子
- もっと気軽に、いつも使うアイテムとしてガラスに愛着をもってもらえたら、ほんとうに嬉しい。
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- Interview 002篠原 義和
- 『津軽びいどろ』があることで日々の楽しみや、思い出づくりのきっかけをつくれたら
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- Interview 001芳賀 清二
- 青森は自然が本当に豊か。その美しさを、少しでもガラスから感じてもらえれば。