『津軽びいどろ』の生まれた青森県の多彩な「いろ」と「ひと」と「もの」、そして「こと」を訪ね取材、土地の魅力を発信していくコンテンツです。今回は青森県・南津軽郡大鰐町にある温泉旅館「星野リゾート 界 津軽」と「津軽びいどろ」との夏のコラボレーション、そして800年以上もの歴史ある温泉に浸かってのんびり心休まる界 津軽での過ごし方についてご紹介します。
ねぷたの祭りの息吹を感じる
水庭と「津軽びいどろ」の
コラボレーション
まるで一夜の夢のように、せつなに移ろいゆく美しい時間。青森に短い夏が訪れると、やがて人も街も祭り一色に染まり、この季節だけの濃密な余情に包まれます。その特別な時間の流れへゲストをいざなうのが、「星野リゾート 界 津軽」の庭園、「津軽四季の水庭」です。
津軽びいどろとの競演による、弘前ねぷたをイメージした夏季限定のインスタレーション。祭り提灯を思わせる合計160個もの硝子の浮き球に彩られ、水庭には青森の夏の情景が浮かび上がります。日中、薄暮れ、そして完全な宵の時間へ、時間帯によって刻々と変化する夏の光…。ゆるやかに、曖昧に移り変わってゆく中で、硝子の芸術は、様々に表情を変えていきます。その奥ゆかしい美しさに見とれながら、静かな水辺で湯涼みに佇む贅沢。日常の喧騒を離れ、心が洗われるような体験が堪能できます。
いざなう灯り
夏の宵闇に包まれて
赤橙のオブジェは
曇りない水鏡にその姿を映す
静かに浮遊する幻想の世界
夏の青森の味覚と
津軽の地酒を
ぴったりの津軽びいどろで楽しむ
界 津軽では地元の人にも津軽エリアの良さを再発見してもらうマイクロツーリズムの一環として、地酒に目を向ける「マイクロ酒―リズム」を進めてきました。今夏は、弘前で「じょっぱり」という酒をつくる「六花酒造」と、「津軽びいどろ」とのコラボレーションで、日本酒の新しい提案を楽しむことができます。六花酒造の製造責任者(杜氏)河合貴弘氏とともに、会席料理がよりおいしく味わえるよう、料理にあわせた日本酒が厳選され、さらに日本酒にあわせた津軽びいどろの酒器に注がれて提供されます。
期間2021年6月1日~8月31日料金
<特別会席ペアリングセット>3,000円(税込)
<夏酒とおつまみのセット>1,200円(税込)
時間<夏酒とおつまみのセット>16:00~21:00
予約<特別会席ペアリングセット>不要
<夏酒とおつまみのセット>当日フロントにて予約
先付け「大間のまぐろと雲丹のあられ和え 黒にんにく風味」には、わずかに酸味を感じる「造り酒屋のりんご酒」を合わせ、飲み口が柔らかく感じるころんと丸いおちょこに入ってきます。身が引き締まったぷりぷりの「鮑の氷しゃぶしゃぶ」には、キリリと辛口の「特別純米酒 超辛口 じょっぱり」。使用する酒器は、40~50年前実際に使用されていた浮き球を再利用して作られたおちょこです。蒼のような、緑のような複雑な色合いは青森の海を思わせます。脂身がとろける「大間のまぐろお造り」には、旨味たっぷりの「純米吟醸 生酛 直汲み 情っ張 生詰原酒」がよく合います。考え抜かれた食事と日本酒のペアリングをぜひご体験ください。
涼をいただく
清涼と幸福で盃を満たして
ひとときばかりの暑気払い
色鮮やかな夏野菜たちが
昼下がりの食卓に賑わいを添える
忙しいオトナたちがほっと心休めて
癒される“うるはし現代湯治”
「星野リゾート 界 津軽」は、青森県中央部にある大鰐温泉郷に位置しています。「津軽の四季と伝統文化に浸る温泉旅館」をコンセプトテーマに、広々とゆとりある落ち着いた空間やシンプルで静けさを感じる設えなど、訪れる人が休息をとるための工夫がいっぱいです。廊下をはじめ客室館にはこぎん刺しの基礎模様(モドコ)が配され、部屋ごとにそれぞれ40種類のモドコがあしらわれています。ロビーに飾られた巨大な大壁画は、日本画の巨匠・加山又造による『春秋波濤』という作品。その他にも館内には多くの貴重な美術品が飾られています。ゆっくりと温泉に浸かり深呼吸をする…日ごろ時間に追われ、せわしなく過ごすオトナがふと立ち止まり、日常から離れ自分を取り戻すことができる癒しの空間なのです。
源泉:萢頭温泉 泉質:低張性弱アルカリ性高温泉/ナトリウム塩化物泉
鎌倉時代にスタートした大鰐温泉の歴史。かつては徳川家康にも愛された熱海、霊場として信仰された熊野と並んで不動の人気を集める温泉地と言われていました。とろりとしたお湯は、弱アルカリ性で余分な角質を落とし、肌の表面に塩のパックのような油膜を張ってくれるため美肌や保温にも効果があり、寒冷地である青森で地元の人たちから深く愛されてきた理由も頷けます。大浴場では、青森ヒバの湯舟にりんごの実が浮かぶ「りんご風呂」が楽しめます。りんごが実る前の夏季は、青森ヒバで作られたりんごのオブジェが浮かびます。りんごは瑞々しく、ヒバりんごは爽やかに、どちらも思わず息を吸い込みたくなる良い香りで癒してくれます。お湯は、40℃と低めの温度に設定されているのでゆっくり浸かることができます。夏の疲労回復には、全身浴3分、一度上がって30秒から1分冷水シャワーで身体を冷やし、また全身浴…を3~5回繰り返すのがオススメだそう。末梢血管が広がって、疲労物質が体外に排出しやすくなるといわれています。
2019年4月のリニューアルで、パブリックスペースや和室の客室が改装されました。40ある客室には、こぎん刺しの模様(モドコ)をkoginアーティスト山端家昌氏によって現代風にデザインされたものがひとつずつセレクトされ、入口の行灯、壁に飾られたアートワーク「こぎんウォール」や障子などにあしらわれた、あたたかみのあるモダンでシンプルな空間として生まれ変わっています。
江戸時代、津軽の農民たちは麻の着物しか着ることが許されませんでした。しかし津軽の冬は厳しく長いものです。そこで少しでも保湿・保温するため、また強度を増すため麻布に木綿の糸で刺し子を施すようになり、それがやがて「津軽こぎん刺し」として確立しました。縦の織り目に対して奇数目を数えて糸を刺していく技法で、弘前を中心に発展しました。かつて生活のために誕生したこぎん刺しは、現在ではその文様の美しさから広く愛されています。界 津軽では、その中から蝶々や馬のクツワなど、津軽にまつわる縁起の良いものだけを選んでいます。
星野リゾート 界 津軽
スタッフ
田村 真彦 氏
季節の魅力を伝えるチーム 夏担当。
「津軽四季の水庭」開発の経緯を教えてください。
これまで水庭の周りにはデッキもドアもなくて、窓の外から風景を楽しむことしかできませんでした。津軽は1年を通して、過ごしやすい気候が特徴ですから、お風呂上りに夕涼みしていただきたくて2019年4月リニューアルオープン時にテラスを設置しました。さらにお客様に、津軽の伝統や文化を身近に感じていただくため、四季それぞれを表現した装飾を施しています。
こだわりのポイントや、見どころは?
水庭から見える自然の景色が、桜、新緑、紅葉、雪と一年を通して移り変わるのに合わせて、春は金山焼、夏は津軽びいどろ、秋は津軽塗り、冬は津軽こぎん刺し・・・と装飾も季節ごとにテーマを設けて、お客様の思い出に残るよう心がけています。春の金山焼は高さのある灯篭なので重厚感が増すよう固めて配置しますが、津軽びいどろは夏祭りをイメージしているので水庭全体を包むよう散りばめる、など微調整を繰り返し、どこから見ても綺麗に映るよう配置しています。企画立案から、毎回の装飾設置まですべてスタッフの手でおこなうため、お客様からのご質問へも臨場感を以て情熱をそのままにお伝えすることができます。
「夏の津軽びいどろ」開発に当たって裏話があると聞きました。
開発当初、私たちから北洋硝子さんに対して、津軽びいどろ「NEBUTA」のデザインで浮き球を制作して欲しい、と依頼しました。浮き球を作る際にブロー成形という技法を用いるそうですが、その影響で従来の「NEBUTA」シリーズのグラスなどと比較すると、オレンジや赤のガラスが全体に広がり、やや赤みがかった温かみのあるものになりました。実は現在のねぶたはLEDを使用することが多いですが、扇形の弘前ねぷたはまだ電球の使用率が高く全体が赤みを帯びています。まさにぴったりの浮き球が完成しました。温泉であたたまった後は「津軽四季の水庭」で湯涼みしながら、青森の文化を間近に触れていただけると嬉しいです。
ギャラリー
界 津軽の魅力紹介
ぜひ体験してみたい
界 津軽オリジナルコンテンツ
ご当地楽
「津軽三味線」の生演奏
津軽三味線全国チャンピオンの渋谷幸平氏と、渋谷氏の指導を受けた界 津軽スタッフによる生演奏が毎日開催されています。スタッフ45名の約3分の1にあたる14名が現在日々練習にあたり、毎日交代でステージに上がっています。「さっきまで夕食を配膳してくれていた彼(彼女)が演奏を!」という驚きと楽しさも。生音にこだわり、ダイレクトに伝わってくる振動は心を揺さぶり、感動を巻き起こします。
毎日21:00頃 ロビー
ご当地楽
「津軽こぎん刺し」刺し放題セット
トラベルライブラリー近くでは、客室のモチーフにもなっている「津軽こぎん刺し」の体験をすることができます。ひと針ひと針刺していき、シンメトリーの模様を作り上げます。「もう少し簡単なものがいい」という方向けには、穴が開いた場所に糸を通していく「紙しおり作り体験」もあります。どちらも完成したものは持ち帰ることができます。
料金:1,500円(1セット2名様分)、開催場所:お部屋など、予約:当日フロントにて要予約、1日3セット限定
温泉いろは
大鰐温泉に関する歴史、歴史、泉質、環境について紙芝居でわかりやすく紹介してくれます。忙しい現代人が癒して明日への活力を生み出していけるような湯治「うるはし現代湯治」を掲げ、温泉療法医が慣習のもと季節ごとに適した入浴方法を教えてくれます。
毎日16:30~16:50
トラベルライブラリー
つがる四季のたいそう
朝から軽い運動することで、温泉効果を高める「津軽体操」が毎朝テラスでおこなわれています。津軽の四季にまつわる物を動きを取り入れており、春は弘前城公園の桜、夏は弘前ねぷたのダイナミックで雄大な姿、秋はりんごの収穫、冬は雪かきをイメージした体操です。水庭を眺めながら空気をいっぱい吸い込めば、心身ともにリフレッシュすることができるでしょう。
毎朝7:00から 津軽四季の水庭
※人数多数の場合は、場所が変更になる可能性がございます