【読みもの】百色の青森 津軽びいどろを訪ねて

  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 
  • 百色の青森 

青森をつくる いろ ひと こと

『津軽びいどろ』の生まれた青森県の多彩な「いろ」と「ひと」と「もの」、そして「こと」を訪ねて取材、土地の魅力を発信していくコンテンツです。今回は、新緑や秋の美しさが話題となっている十和田・奥入瀬の、知られざる冬景色についてご紹介します。

青森をつくるいろ

朝にみる水墨画の世界と、夜にみる幻想的な光 朝にみる水墨画の世界と、夜にみる幻想的な光

雪がつくりだす静かな時間を、
花火とライトアップで彩る十和田・奥入瀬。

特別名勝・天然記念物として国の保護を受けているほど、美しく豊かな自然が残る十和田八幡平国立公園。なかでも人気の景勝地といえば、透明度の高い湧き水を湛えた十和田湖と、自然の息吹が間近に感じられる奥入瀬渓流です。輝くような新緑や黄金色に染まる秋も格別ですが、冬にしか見られない特別な時間が、ここにはあります。

雪深い十和田の小径を抜けて、
靄がかる水墨画の世界へ。

夜に降り積もった雪が音を吸い込んで、自分が歩く音しか聞こえないような朝の十和田湖畔。空を雪雲が横切るとちらちらと雪が降ってきて、風が穏やかな日は雪が枝に当たる音や、枝から雪の塊が落ちていく音がときどき聞こえてきます。パワースポットとして古くから信仰を集める十和田神社近くの湖畔には、冬でも遊歩道や散策のための道がいくつかあって、他には誰もいないような、厳かな時間のなかをゆっくりと散策することができます。積もった雪に点々と残る、兎や動物たちの足跡に先導されて歩くのもおもしろく、時期にもよりますが、湖では白鳥に出会えることもあります。

白と黒の世界、ときどき青

積もった雪をかき分けるように
湖畔までの道を歩く
目の前に広がっているのは
白と黒と、晴れ間の青だけ。

冬の十和田湖は、風の強い日には海のように波立ちますが、凪いだ日は、まるで鏡のような姿です。湖の上には雲のように靄がかかって、雪と木々のコントラストと相まって水墨画の世界が広がります。水が寄せる岸には氷の塊が鱗のように重なっていき、十和田湖には龍神が眠っている、という伝説をどこか実感するようです。他の季節にはない、他の場所にもない、静かで神秘的なひとときを、冬の十和田湖でぜひ体感してみてください。

美しさと迫力に魅了される、
アイスブルーに輝く奥入瀬の氷瀑。

十和田湖の湧き水が注ぐ奥入瀬渓流は、子ノ口から焼山まで、さまざまな水姿を見せつつ14kmほど続いています。渓流のすぐそばには車道と遊歩道が整備されているので、冬でも比較的訪れやすいスポットです。とはいえ、春から秋にかけては観光で賑わうこの場所も、冬になると静けさが流れていく場所に。水の上を点々と渡る岩の上にはこんもりと雪が積もって、苔むす初夏よりひとまわりほど大きく見えます。
また奥入瀬では、厳冬期にしか出会えない特別な景色があることをご存じでしょうか。それは、見上げるほど大きな氷柱でできた「氷瀑」です。

ひと筋の水の動きが見えてく

屋根に下がる氷柱とは全然ちがう
神秘的なブルーのひと筋。
輝きが集まるその奥のほうでは
水の粒が流れて凍っていく。

奥入瀬にはいくつかの滝があり、それが極寒のなか少しずつ凍っていくことで、流れる姿そのままで時を止めたような、迫力ある氷瀑となります。幾筋も流れる氷柱が滝を描き出す様子は、まるでガラスでできた彫刻のようです。また、きれいな雪原や流氷は青く見えますが、奥入瀬の氷瀑も同じように、青く透明に輝いています。氷が青く輝くためには、氷の粒に不純物の混ざらない環境が必要なのですが、澄み渡る厳冬の奥入瀬では、美しいアイスブルーの氷瀑が生まれていくのです。

雪に映えるライトアップ。
氷瀑も色彩豊かなイルミネーションに。

そして、厳かで美しい日中とは対照的に、夜になるとがらりと雰囲気が変わるのが十和田・奥入瀬の冬景色です。十和田湖では毎年、イルミネーションや花火で会場と十和田湖を彩る「十和田湖冬物語」が開催されています。氷のランタンやLEDでライトアップされた会場には、地域の名物屋台がずらりと並び、雪でできたステージでは津軽三味線などのライブパフォーマンスも開催。十和田神社でも2020年から「カミのすむ山 十和田湖 光の冬物語」が開催されていて、十和田湖伝説をテーマとした光と音で幻想的な世界が体感できます。
奥入瀬渓流では、バスで巡る夜の氷瀑ツアーも。見所ごとに“水墨画”“月あかり”などテーマが決められたライトアップで、物語性のあるカラフルな氷瀑が楽しめます。ライトアップは色が次々と移り変わっていくので、写真や動画の撮影によく映えます。 ※イベントの最新情報は各公式WEBをご確認下さい。

今回登場したステキな場所は...

  • 約20万年前にはじまった火山活動によって形成されたカルデラ湖。中湖は水深が約327mで、日本では第3位の深さ。また、「十和田湖および奥入瀬渓流」として、文化財の特別景勝、天然記念物に指定されています。
  • 十和田湖に突き出す中山崎に位置する神社。その縁起には湖にまつわる龍神伝説が残っていて、807年創設という説もある。古来占い場として篤い信仰を集めていて、現在も“願いが叶うパワースポット”として人気です。
  • 十和田湖畔・子ノ口から焼山まで約14km続く渓流。渓流添いにはいくつもの滝が点在しているため、「瀑布街道」とも呼ばれています。銚子大滝をはじめ、阿修羅の流れ、雲井の滝など、さまざまな景勝地が続きます。

  • ピックアップアイテム 暮らしにおすすめしたい津軽びいどろ

    Read More

  • 十人十色の手しごと 職人たちが込める想い

    Read More

  • 青い森の日本酒と津軽びいどろ 日本酒がもっと美味しくなる盃選び

    Read More