『津軽びいどろ』の生まれた青森県の多彩な「いろ」と「ひと」と「もの」、そして「こと」を訪ねて取材、土地の魅力を発信していくコンテンツです。今回は、青森が故郷の方はもとより、観光で初めて訪れる方にも、どこか懐かしい日本の原風景が広がる「夏の津軽半島」を楽しむをテーマに、美しい景観や名所、グルメなどドライブで行く2日間の旅をご紹介します。
2日間の津軽旅、
ドライブで「龍飛ブルー」の絶景を巡る1日目
十和田奥入瀬、白神山地、八甲田山。自然豊かな夏の青森にはたくさんの見所がありますが、夏にぜひ訪れたい絶景が津軽海峡を望む龍飛崎です。津軽海峡といえば風雪厳しい冬…というイメージを抱く方も多いと思いますが、夏の津軽海峡はその厳しさを忘れるように、「龍飛ブルー」が美しい爽やかな景色が広がっています。東北や青森の方にとっては王道すぎて、かえって訪れることもなかったかもしれませんが、よく晴れた夏の日に、ぜひ足を運んでほしい場所なのです。
青森駅から約2時間。
吹き抜ける風が暑さを飛ばす龍飛崎へ
龍飛崎へは、青森駅から車で約2時間のドライブとなります。青森駅から海沿いの道を1時間ほど走ると、中間地点の蟹田という土地に到着します。ここは右手に陸奥湾と下北半島の姿が広がる絶好のドライブスポットで、ここまでは津軽平野の平坦な道が続きます。蟹田を過ぎた後半は、道路の脇に野生の親子猿が見られることもあるほどの山道となるので、運転に自信のある方との同行がおすすめです。
龍飛崎は津軽半島の最北端で、津軽国立公園の一部。語源はアイヌ語で「タム・パ(刀の先=突き出た地)」だといわれていて、その名の通り津軽海峡へと突き出た岬です。海から吹いてくる風は暑さを和らげてくれますが、その風の強さは風力発電に利用されるほど。龍飛崎のシンボルともいえる灯台まで歩くと遮るものは何もなく、強く吹く風の向こうには、海峡越しに北海道が見晴るかせます。
車の通れない階段国道
徒歩でしか通れない
日本で唯一の階段国道339号は
龍飛崎へ来た記念に
一度は通っておきたい道。
ひとつめの「龍飛ブルー」は、
龍飛崎から望む、
紺碧に輝く透明な海。
紺碧の美しさと渦を巻くデザインが印象的な、津軽びいどろの工房作品『津軽海峡』シリーズ。そのモチーフとなったのが、龍飛崎の眼下に広がる景色です。龍飛崎周辺の海には暖流が流れ込む関係で、よく見ると岬を取り巻くように渦潮が発生しているのがわかります。海は透明で、碧を帯びた神秘的な深青。渦によって白く波立ち、細やかに光を反射している光景を、津軽びいどろの職人たちは切り取って作品としています。
また不思議なことに、龍飛崎から海を眺めていると心が穏やかになる方が多いのだそうです。ここでしか出会えないブルーと、心を晴らすように吹き抜ける風。夏の龍飛崎は、日々のリフレッシュにもぴったりの場所なのです。
太宰治ゆかりの元・旅館
龍飛崎の観光案内所「龍飛館」は
かつて太宰治が愛した奥谷旅館。
建物の風情と当時の資料は
文学ファン必見です。
龍飛に咲く北限の紫陽花。
フォトジェニックなもうひとつの
「龍飛ブルー」。
じつは、夏の青森では紫陽花の美しさも見所のひとつだということをご存じでしょうか。街中では紫陽花が街路樹になっていますし、森では自生しているところもたくさんあります。龍飛崎にも紫陽花が群生していて、これは本州北限の紫陽花なのだとか。美しさのなかにも野性味をもって咲く様子は、雪深い津軽という地の、力強さやしなやかさを表すようです。岸壁沿いの遊歩道には“北限の紫陽花”が咲き乱れ、歩く姿はインスタ映え抜群のフォトジェニックさに。紫陽花が見頃となる7月中旬〜8月下旬の間にだけ現れる、女子旅やデート、家族旅行には欠かせない特別な撮影スポットです。
青森の紫陽花はスモーキーでいて鮮やかなブルーが多く、特徴的なその色は、ほかではあまり見かけません。龍飛崎のすぐ手前にある、県道281号「あじさいロード」はドライブで楽しめる紫陽花の名所で、地元の方が一つひとつ植栽した紫陽花が、7月から9月にかけて見頃を迎えます。20分ほど続く紫陽花の道で、この地ならではのブルーを想い出に残してみてはいかがでしょうか。
空と海を結ぶ、ロードバイクの聖地
「竜泊ライン」は絶景の撮影スポット。
往路であじさいロードを楽しむのであれば、復路のおすすめは「竜泊ライン」です。龍飛崎から日本海側の小泊まで抜けるこの道は、紺碧の日本海や十三湖、遠く岩木山まで見晴らせる眺望と、豪快なワインディングロードが特徴です。右へ左へと曲がりくねる道のドライブはアトラクションのようですが、展望台「眺瞰台」からの眺めは圧巻。まるで龍が海や空へと昇っていくかのように、山岳の深い緑の中を九十九折りの道が横たわります。
「龍飛」は語源である「タム・パ(刀の先=突き出た地)」への当て字ですが、“龍が飛ぶ”という漢字以上にふさわしいものはなかったでしょう。撮影をするときは、展望台駐車場から狙うとダイナミックに撮影できるので、来訪の際は試してみてください。さらに目線を変えると、少し向こうには龍飛崎の白い灯台と渦潮、風力発電の風車、海でマグロが跳ねる様子など、津軽海峡らしい風景も見つけることができます。
「海に溶ける夕陽」を砂浜で待ちながら、
ドライブをしめくくる。
竜泊ラインを越えて青森方面へ向かうと、目の前に開けてくるのが折腰内海岸です。オートキャンプ場も併せ持つ道の駅「こどまり」がすぐそばにあります。お昼時であれば名物のメバル料理をいただくのも良いですが、ここで出会いたいのは、なんといっても夕景です。折腰内海岸は“海に溶ける夕陽”と呼ばれるほど感動的な夕景に出会える場所で、夏の19時頃、天気の良い日には空一面が茜色に。日中の暑さとはうらはらに砂浜へ寄せる波は少し冷たく、クールダウンにもぴったりです。また、夏の津軽半島は次々と咲く植物の香りが風でブレンドされて、爽やかで甘い香りに包まれています。心地よい風と波、やさしい香りのなかで見る夕陽で、ドライブを締めくくってください。
ギャラリー
今回のドライブルートは...
旅記事vol.1店舗紹介
夜ごはんに行きたい
青森美食 × 津軽びいどろ
旬の海の幸を贅沢にいただくなら
『北の味処 一っ福』さん
笑顔が素敵なご夫婦が営む人気店。新鮮で旨味たっぷりな旬の海の幸を中心に、「青森のうまいもの」が存分に味わえます。地酒の取り扱いも多く、飲み比べができます。
〒030-0802 青森市本町1-1-25
17:00~23:00(食べ物LO 22:00、飲み物LO 22:30)
郷土料理の「貝焼き」、お造りの盛り合わせ、夏の味覚 生ウニ。夏の地酒は津軽びいどろで。
青森の家庭料理を楽しくいただくなら
青森屋台村さんふり横丁
『あっちゃの店 小桜』さん
地元の憩いの場、屋台横丁に軒を連ねる“あっちゃ=おかあさん”のお店。津軽弁で明るく迎えてくれるあっちゃの料理は、素朴ながら奥深い、ここだけの美味しさです。 さんふり横丁の「さんふり」とは、津軽人の特徴のこと。「見栄っ張り」「ある振り」「知ったか振り」を津軽弁で「えふり」「あるふり」「おんべだふり」ということに由来しています。
〒030-0802 青森市本町3-8-3
17:00〜25:00
青森の山菜や魚を使った、家庭料理のお通し(日替わり)。津軽びいどろの器が彩ります。