【四季のびいどろ】青森の風景と津軽びいどろびいどろにうつした四季の色
弘前 桜春が始まる青森の情景
花の命は短く、桜は散るからこそ美しい。人の心を引きつけて離さない桜は、時に歌となり時に絵となり、古来より愛されてきました。弘前公園の桜もまた、春の訪れを知らせるように毎年咲き誇るその姿は美しく、長い冬を耐えて春を待ちわびた人々に喜びを与えてくれます。
ソメイヨシノを中心に約2600本が咲く弘前の桜は、天守や城門、堀など城跡となった公園に4月下旬から5月上旬にかけて満開を迎えます。「日本一」とも言われる所以は、その数ではなく、日本一の生産量を誇るリンゴの剪定技術によるもの。樹木医たちによる一年をかけた管理が春の華やかな景色を生み出しています。
そして夜の桜も、弘前公園の見どころのひとつ。昼間の喧騒が嘘のような静寂の中、ピンクや白の花びらが月光や明かりに照らされ、堀の水面(みなも)には鏡のように映る桜。桜の樹々が連なり一面に広がる情景は幻想的な「花あかり」の世界を作り出します。
青森に咲く夜桜の美しさ
古来より受け継がれた宙吹きの技法で作られた、津軽びいどろ工房「弘前桜 花あかり」。手づくりならではの柔らかい形に、ピンクなどの色ガラスを幾重に重ねて出来上がった立体感は、まるで辺り一面に咲き乱れる美しい夜桜を感じさせてくれます。豪華にあしらわれた金箔もまた満開の鮮やかな桜が、辺りの闇をほのかに明るく感じさせる花あかりの情景を演出してくれます。
歴史の面影を残した城跡に静かに咲く弘前の桜。さまざまな表情を見せる桜の木の下で、酒を楽しむ人や肩を寄り添い語り合う人たちが、それぞれの春を過ごし、夜は止まることなく明けていきます。
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【弘前城】
江戸時代に建造された、弘前市にある城。天守や櫓などが現存しており、国の重要文化財に指定されています。弘前市はおよそ100年ぶりに石垣の修理に着手するにあたって、全国でも珍しい曳屋工事を実施しました。工事完了予定は2023年頃。
「“弘前桜 花あかり”と青森屋ロビー」 撮影協力:星野リゾート 青森屋(実際の設置とは異なる場合がございます)