【読みもの】百色の青森 津軽びいどろを訪ねて

  • 百色の青森 奥入瀬
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青森をつくる もの ひと こと

『津軽びいどろ』の生まれた青森県の多彩な「いろ」と「ひと」と「もの」を訪ねて取材、土地の魅力を発信していくコンテンツです。今回は新緑の奥入瀬渓流に焦点をあてて、『津軽びいどろ』に宿る緑色の原点を巡っていきます。

青森をつくるいろ

五感に美しい新緑の奥入瀬 五感に美しい新緑の奥入瀬

宝石のような緑と渓流の流れが輝く
初夏の奥入瀬渓流へ

青森県と秋田県にまたがる十和田湖から流れる奥入瀬渓流は、十和田湖・子ノ口から焼山までつづく約14kmの渓流です。十和田湖と奥入瀬渓流は十和田八幡平国立公園を代表する景勝地で、特別名勝、天然記念物として国の保護を受けるほど美しく希少な場所。今回はその美しさが際立つ、奥入瀬渓流の新緑とその魅力についてご紹介します。

美しさに包まれた小径

遊歩道を一歩すすめば
薄緑、濃緑、翠、碧、黄緑…
たくさんの緑が織り重なって
時間まで美しく染めていく。

十和田湖の湧水が注ぐ、
自然豊かな渓流。

青森県の湖の中でも一際存在感を放つ十和田湖は、どこまでも透明な湧水を湛えたカルデラ湖です。その湧水は奥入瀬川へと注ぎ込み、樹林を抜けて八戸から海へと流れていきます。なかでも子ノ口から焼山まで続く14kmほどが奥入瀬渓流であり、その美しさは多くの文化人に愛されてきました。

渓流のすぐ側に車道と遊歩道が整備された立地も魅力のひとつで、遊歩道の小径へ入れば、そこからは別世界。小径を包み込むように続く木のトンネルは、春から夏にかけて輝くような新緑に彩られ、水面を渡る倒木や岩が流されることなく苔むす様子は幻想的。見渡す限りが緑色に色づいた、ここにしかない世界に出会えます。

職人たちも毎年“足を運ぶ”
新緑に染まった奥入瀬。

奥入瀬渓流は津軽びいどろを作る職人たちも毎年欠かさず訪れ、新鮮な気持ちで自然と向き合える場所でもあります。青森の四季や情景を色ガラスで表現する職人たちにとっても、手つかずの緑のバレットはインスピレーションを刺激される、心を惹き付けてやまない場所です。

春のやわらかな陽を受けて、葉の一枚一枚が宝石のように映える新緑の季節。重なりあう葉に、水面を流れる緑の影に、空気まで色づいて見えるひと時。自然に倒れた木は時間とともに苔むし、美しい景観のひとつとなります。倒木が岩と岩との架け橋となって、川中の岩に若木が茂っているものもあります。水量が一定だからこそ岩が押し流されず緑が育まれる、奥入瀬ならではの光景です。

つぎつぎと表情を変える、
火山活動が生み出した渓谷美。

いつの間にか、ゆっくりと深呼吸をしている。自分が自然の一部になったような、不思議な心地良さに満ちた奥入瀬渓流には、表情豊かな見どころが点在しています。渓流沿いは「瀑布街道」と称されるほど滝が多く、歩いていて飽きることがありません。なかでも、子ノ口から歩いて30分ほどにある「銚子大滝」は、幅が約20mもある豪快な滝。とくに新緑が繁る6月頃には雪解け水の影響で水かさが増し、一年でいちばんダイナミックな光景を見ることができます。ほかにも、水の流れが急で、飛沫を上げながら岩々の間を滑るようにすすむ「阿修羅の流れ」、水中の岩が陽で輝いて見える「飛び金の流れ」など、河口へ向けて緩やかに変化していく水の景色も愉しいもの。子ノ口から焼山まで一度に歩くのではなく、何度かに分けて、あるいは季節違いで歩いてみても魅力的です。

千変万化の流れ

清く透明な水は
爽やかな音と一緒に流れていく。
ときに、はやさを変えて
ときに、姿を変えて。

小さな緑が、大きな緑へ。
生命が芽吹く場所。

涼しげな水音と、さらさらと擦りあう木々の音、野鳥の声。爽やかでしっとりとした水辺の薫り。滝からこぼれて舞う細やかな飛沫が気持ちよく、木漏れ日に輝く水面は複雑な緑色をしている…。奥入瀬渓流は比較的整備された遊歩道が続きますが、豊かな自然はそのまま残されて、樹林の中の小径といった雰囲気です。大きな木が多く、木肌や切り株はコケでふっくらとしています。コケの種類も多様で、よく見ると同じ場所に何種類ものコケを見つけることができるほどです。十和田湖は噴火によって生まれたカルデラ湖。そのため奥入瀬周辺も、かつては火で焼き尽くされた灰色の土地でした。それを緑の棲処へと変えた最初の植物は、コケなどの隠花植物だったといわれています。一つひとつの小さな植物にも、大小さまざまな葉に埋もれた木の根にも、この美しい渓流を育んできた生命の気配を感じることができそうです。

心を震わせる初夏の輝きと、
空模様で変わる美しさ。

青森の長い冬が明けて、きらきらと輝く緑に包まれる初夏。深い白に閉ざされた景色を塗り替えるその色は、青森の人にとって、どれほど心震わせるものでしょうか。『津軽びいどろ』にも、新緑の奥入瀬渓流をモチーフとした商品はたくさんあります。岩間をすべる水しぶきと水面に映る緑を思わせる「金彩花器 奥入瀬」、美しい悠久の流れと煌めきを秘めた「奥入瀬新緑 花器」…切り取る景色はさまざまですが、どれも透明で奥行きのある緑に金を散りばめた商品である理由は、よく晴れた初夏の奥入瀬渓流を歩くと、すぐに分かっていただけます。

また、奥入瀬渓流は晴れた日が一番美しいというわけではありません。ミステリアスに靄が立ちこめる日も、木々が反射して緑の雫が降る雨の日も、それぞれ違う美しさを湛えています。朝のきらめきと、夕の穏やかさも素敵です。その日、その時に見た景色と、感じる想いを愉しんでいただければと思います。

今回登場したステキな場所は...

  • 十和田湖畔・子ノ口から焼山まで約14km続く渓流。渓流添いにはいくつもの滝が点在しているため、「瀑布街道」とも呼ばれています。銚子大滝をはじめ、阿修羅の流れ、雲井の滝など、さまざまな景勝地が続きます。
  • 約20万年前にはじまった火山活動によって形成されたカルデラ湖。中湖は水深が約327mで、日本では第3位の深さ。また、「十和田湖および奥入瀬渓流」として、文化財の特別景勝、天然記念物に指定されています。
  • 売店やお手洗い、休憩スペースを備えた休憩所がある渓流散策の中間点。激しすぎず緩やかすぎない、清涼感のある流れが特長です。阿修羅の流れにも比較的近く、石ヶ戸(“岩屋”という意味)伝説の舞台でもあります。

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