暦のうえでは秋ですが、というフレーズに聞き覚えのある「立秋」。暑さの続く8月7日〜22日頃、立春からちょうど半年が過ぎた日から、立秋=秋が始まります。秋とはいえ、日本ではまだまだ暑さの盛りであることから、冒頭のようなフレーズで紹介されることが多いのですね。それでも、五感を澄ませてみると、少しずつ近づいてくる秋の気配を感じる瞬間が増えてくるのがこの頃です。平安時代に編纂された『古今和歌集』でも「秋の訪れは、目にはっきりとは見えないけれど、風の音で秋の気配にはっと気づいた」という意味の歌が詠まれています。雲のかたち、虫の声、ヒュッと吹いた冷たい風…今年は、どんな瞬間に秋の訪れを感じるでしょうか。
二十四節季では立秋の次に“暑さが静まる”処暑が来るため、昔から立秋は、あとひと息暑さを乗り切る時期とされてきました。暑気払いで冷たいものや身体を冷やす食べ物をいただくのも、この時期が多くなります。トウモロコシ、ナス、カボチャや根菜などがおいしい頃でもあるので、夏バテで疲れた身体は旬野菜の栄養でメンテナンスしてあげましょう。見た目で暑気を払うのであれば、秋の七草を飾ってみるのも素敵です。女郎花、薄、桔梗、撫子、藤袴、葛、萩。薬草という意味合いが強い春の七草とは違って、美しい花を揃えたものが秋の七草となっています。また、北海道や一部の地域では月遅れの8月7日に七夕を行う風習も。おうち時間に、小さな七夕飾りをつくってみても涼やかですね。