【読みもの】暮らしによりそう花えらび前田有紀のFlower Story
繊細で優しいアレンジが魅力のフラワーアーティスト前田有紀さんが『津軽びいどろ』をつかうなら?
季節やシーン、テーマ別に分けて、花や緑で暮らしを彩るフラワーアレンジメントのアイディアを前田有紀さんにお聞きしました。連載最終回となる第4回目は、家の顔ともいえる「玄関」の装いにぴったりのアレンジをお届けします。
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フラワーアーティスト 前田有紀さん
元テレビ朝日アナウンサー。10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いたのち、都内のフラワーショップで3年間の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい!」という思いから、Sudeley(スードリー)を立ち上げ、イベントやウェディングの装飾や作品制作など様々な空間での花のあり方を提案する。
- Sudeley http://sudeley-flower.com/
- facebook @maedayuki.flower
- Instagram @yukimaeda0117
“「家の顔」である玄関からはじめる年末年始の花支度”
玄関の様子を見るとその家に住む人のことがわかる、ということから、「家の顔」とも呼ばれている玄関。宅配が届いたときなど、初対面の方の目にも触れる場所であり、お招きしたお客さまを一番はじめにお通しする場所でもあります。今回のテーマは、来る年末年始を花で彩って「家族やお客さまの気持ちを晴れやかにする玄関」。クリスマスやお正月のムードを高めつつ、お洒落できちんとした印象を与えてくれる、前田さんならではのコーディネートをご紹介します。
派手になりすぎず、お洒落で品よく、でも季節感のあるアレンジのコツが知りたいです。
今回は玄関がテーマなので、パッと見た印象でも季節感が伝わるように、器のキーカラーは定番カラーに近いものを選びました。花瓶のかたちや、選ぶ花材の工夫でモダンなアレンジとしています。12月・1月はイベントがあっという間に切り替わるので、同じ花瓶・器を使って印象を変えるコツもご紹介できればなと思います。
クリスマス→お正月の変身も簡単!ドライフラワーの花遊び
カラフルな小鉢を使って「花で遊ぶ」ように楽しげなアレンジにできればと思いました。ミニボールはガラスの質感や色の組み合わせが豊富なので、いくつかの小鉢をぽんぽんと置くだけで玄関のアクセントになってくれます。花一輪をあしらうのにちょうどいいサイズ感も魅力的です。器自体のデザインが大人っぽいので、どこかミステリアスな雰囲気を活かして、今回はユニークな花材で思いきり遊んでみました。変わったかたちやインパクトのある植物を選んでリズムをつけると見栄えがします。
クリスマスが終わるとすぐに年末年始がやってくるので、花材は簡単に雰囲気を変えられるドライフラワーがおすすめです。最近はドライの種類がずいぶん豊富になりましたし、飾り終わっても、捨てずにインテリアとして残すことができます。流行のワイルドフラワーもドライとして保存できるものが多いので、今年のクリスマスはちょっとアーバンな雰囲気でお部屋をコーディネートしてもいいですね。バタバタしがちな時期に、水替えやお手入れの手間がかからず長持ちするのもポイントです。
和をコンセプトにデザインされているので、華やかにしたいクリスマスにも、厳かにしたいお正月にもよく似合うと思います。お正月に飾るのであれば、菊の花をあしらっても素敵ですよ。
花材 : ドライアンドラ、ヘリクイサム、ドライフラワー
「クリスマス用」に選んだ津軽びいどろ
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- SHIKISAI mini bowl
凛とした存在感が引き立つ、一輪挿しの迎春アレンジ
『金彩一輪挿し ねぶた』を選ばれたのは意外でしたけど、凛としていて美しいですね。
実はひと目見たときから、『金彩一輪挿し ねぶた』は迎春にぴったりの花瓶だなって思っていたんです。一輪挿しですがいろんな色が入っていて豪華ですし、金箔も華やかで存在感がありますよね。すっと伸びやかな縦のシルエットが上品なので、枝ものをあわせるとより洗練された印象になります。ベースに使われている色や模様と、花の色や模様に共通点があると上品にまとまるので、花材選びのポイントにしてみてください。今回は基調色の黄色を取り入れて、枝ものには満作を選びました。それと、アレンジの主役になっているアマリリスは『金彩一輪挿し ねぶた』のオレンジ色や斑模様でイメージをリンクさせています。
もうひとつのポイントとしては、花瓶が華やかな分、花の色は控えめすることです。器の華やかさに“寄り添う”ように花を飾ると、日本らしい凛とした美しさが引き立ちますよ。カラフル×ゴージャスにまとめるアレンジも素敵ですけれど、自宅で飾るとなると、豪華すぎるのもすこし身構えてしまいますよね。迎春らしく華やかな花瓶を用意して、花材はすっきりシンプルにまとめると、特別感はありつついつもの暮らしに馴染んでくれるアレンジになります。
今回は色のアクセントとして満作を選びましたが、迎春の枝ものであれば、松やこけ梅などもおすすめです。大人っぽい落ち着きと品格がプラスされます。迎春を過ぎたら、春に芍薬や木蓮、夏には向日葵や満天星、秋は金木犀や紅葉、冬になったら柊や椿・・・などなど、四季折々の訪れを一輪一枝に込めて、景色のように愉しむのもお洒落ですよね。
花材 : アマリリス、満作
クリスマスやお正月のイベント感は大切に、それでいて、花材選びや花瓶選びに前田さんならではのセンスが感じられるアレンジでした。『SHIKISAI』も『金彩一輪挿し ねぶた』も、少量の花材を活ける=一輪にメッセージを込めて飾る器です。「玄関は家の顔」という意識で、自分の家“らしい”花材を選んでみてください。
また今回は、迎春のコーディネートに『親子ふくろう』をプラスしました。ガラスの花瓶にガラスのオーナメントをあわせることで、統一感と透明感のある設えが完成します。ふくろうは「福が来る」という意味をもつ縁起物なので、年末年始にぜひ飾ってみてほしいなと思います。
- 全4回となる「暮らしによりそう花えらび 前田有紀のFlower Story」の連載は、この記事が最終回です。
前田有紀さんのアイディアとアドバイスで、ちょっとレベルが高いかも・・・と感じていたフラワーアレンジが、ぐっと身近に感じられましたね。暮らしによりそう花えらび。これからも四季折々の彩りを、毎日のなかで愉しんでいただけたらと思います。連載の応援、ありがとうございました。